信頼構築のための対話と透明性の役割

システム開発におけるクライアントとの関係に置き換えれば、要件定義の重大な変更を共有ドライブの奥底にそっと保存しただけで、不具合が起きた後に「ちゃんと仕様書に記載していましたよね」と開き直るベンダーと同じです。これではプロフェッショナルとしての責任を果たしているとは言えず、何より当事者としての誠実さが完全に欠如しています。

対話の拒絶の根底にあるもの

政府が国民に対する「周知させる義務」や「対話する義務」から逃げ、こうしたアリバイ作りのような広報に終始してしまう背景には、批判に対する恐怖や不安、そして限りない不足感があるように見受けられます。それは結局のところ、自分たちの任期中の計画や面子さえ保てればよいという、自分だけよければという無意識の表れに他なりません。

自分自身に嘘をつかず、誠実であるということ。これこそが、巨大な社会インフラや制度を構築する上での大原則です。もし、政策の立案者が本当に「みんなが喜ぶ姿」を明確にイメージして設計に向き合っていれば、姑息な手段で情報を隠したり、体裁を取り繕ったりするようなピエロにはならないはずです。

将来世代への負担という最大のツケ

対話を避け、十分な周知と合意形成を行わずに強行された政策やシステムは、現場の運用に無理を生じさせ、必ずどこかで致命的なエラーを引き起こします。

そこで発生するリカバリーコスト、社会的な混乱、稼働後の終わりのない手作業のパッチ当て、そして一度失われたシステムへの信頼を取り戻すための莫大な時間と予算は、すべて将来世代への負担として重くのしかかります。目先の摩擦を避けるための不誠実な対応が、結果として未来の世代から選択肢やリソースを奪うという構造こそが、最も憂慮すべき事態であり、絶対に避けなければならないことです。

新しい世界を成立させる条件

どのような画期的な政策やデジタル化の推進であっても、そこに信用があることが前提です。それがなければ、新しい社会システムは決して成立しません。国民との真摯な対話や、誰にでも分かる形での周知徹底は、単なる「法的な手続き」ではなく、この不可欠な「信用」を構築するための根幹のプロセスです。


コメントを残す